営業マンが独立する前のチェックリスト|退職・契約・顧客情報の扱い
営業マンが独立するときは、退職の半年前から開業後3か月までを4つの時期に分け、それぞれで確かめることを順に片づけると抜けが出にくくなります。独立でつまずきやすいのは、営業の腕より、退職の手続きや前の会社との約束、顧客情報の扱い、税務署への届出といった周辺の作業です。この記事では、会社員の営業職から個人事業主や代理店として独立する方に向けて、時期ごとのチェックリストを、民法や国税庁、厚生労働省の一次情報をもとにまとめました。法的な判断が要る点は、弁護士や社会保険労務士にご相談ください。
この記事で確認した一次情報:e-Gov法令検索(民法、不正競争防止法)、国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」「所得税の青色申告承認申請手続」、厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月8日改定版)、厚生労働省のフリーランス・事業者間取引適正化等法の案内。確認日は2026年10月です。
営業マンの独立準備チェックリスト(全体像)
営業マンの独立準備は、退職の半年前、退職の1か月前、開業の月、開業後3か月の4つの時期で区切ると整理しやすくなります。半年前は、就業規則と誓約書を読み、独立後に扱う商材と働き方を決める時期です。1か月前は、退職の申し入れと引き継ぎを進め、会社の資料を返します。開業の月には、税務署へ開業届を出し、取引先と業務委託契約などの書面を交わします。開業後3か月は、商材の知識を固め、新しいお客様に会い、記録の習慣をつける期間です。このうち後からやり直せないのは、顧客情報の扱いと青色申告の申請期限の2つです。顧客名簿を持ち出してしまうと取り返しがつかず、青色申告承認申請書は国税庁の案内で、1月16日以後に事業を始めた場合は開始の日から2か月以内と期限が決まっています。
| 時期 | やること | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 退職の半年前 | 就業規則と誓約書を読む、扱う商材と働き方を決める | 退職後の競業の制限が誓約書に書かれていないか |
| 退職の1か月前 | 退職の申し入れ、引き継ぎ、資料の返却 | 私物の端末や個人のメールに残った顧客データ |
| 開業の月 | 開業届、青色申告の申請、契約書を交わす | 青色申告承認申請書の期限 |
| 開業後3か月 | 商材の知識、新しいお客様との接点、記録 | 前の会社の顧客名簿に頼らない営業の組み立て |
退職前の確認(就業規則・誓約書・退職の申し入れ)
退職前に確かめるのは、就業規則、誓約書、退職の申し入れの時期の3つです。就業規則では、副業・兼業と秘密保持の条文を読みます。厚生労働省の副業・兼業のガイドラインは、会社が副業・兼業を禁止または制限できる場合として、労務提供上の支障がある場合や、業務上の秘密が漏洩する場合、競業により自社の利益が害される場合などを挙げています。在職中に独立後の取引先と話を進めると、ここに当たるおそれがあります。誓約書は、入社時や退職時に署名したものを探し、退職後に同業への就職や競合する事業の開業を制限する文言がないかを見ます。退職の申し入れについては、民法第627条が、期間の定めのない雇用は解約の申入れの日から2週間を経過すると終了すると定めています。ただ、就業規則に申し出の時期が書かれていることが多く、引き継ぎも要るため、会社と相談して日程を決めるのが円満です。競業避止義務の考え方は競業避止義務とはで詳しく説明しています。
退職時の顧客情報の持ち出しを避ける
退職時に、顧客リストや見積、提案書、営業資料を持ち出してはいけません。会社で秘密として管理され、事業に役立ち、世間に知られていない情報は、不正競争防止法の第2条第6項で営業秘密と定義されています。顧客名簿や取引条件、リース期限の管理表はこれに当たる可能性があり、不正の利益を得る目的で使ったり開示したりすると、同法の規制の対象になります。担当していたお客様の連絡先を自分の携帯電話に登録したまま辞める、見積データを自宅のパソコンに送っておく、といった行為も含めて見直してください。独立してから前の会社のお客様に営業してよいかどうかは、誓約書の文言や、在職中に知った情報を使うかどうかで判断が分かれます。自分で決めずに専門家に確かめてください。
- 紙の顧客名簿、名刺のファイル、見積書の控えは会社に返す
- 私物のスマートフォンやパソコン、個人のメールやクラウドに移したデータを削除する
- 社内システムのログイン情報を返し、業務用のアカウントから自分の連絡先を外す
- 持ち出していないことを、引き継ぎの書類で上司と確かめておく
持っていってよいもの
営業の進め方、業界の知識、話を聞く力は、働きながら身につけた自分の経験です。会社が管理している顧客の情報とは分けて考えます。
開業の月にやること(届出・契約書・口座)
開業の月は、退職でばたばたしているうちに期限が過ぎてしまうものを先に片づけます。いちばん短いのは青色申告承認申請書で、国税庁の案内では、1月16日以後に事業を始めた場合は開始の日から2か月以内に出さないと、その年は青色申告を選べません。開業届も同じ窓口なので、退職日が決まった時点で書類をそろえ、開業の日が来たらまとめて出すと迷いません。税務の届出の細かな流れやインボイス登録の判断は個人事業主として営業を始める手続きに分けて書きました。届出と並んで大事なのが、最初の取引先との書面です。会社員のころは会社と取引先が結んでいた契約を、これからは自分の名前で結びます。2024年11月1日施行のフリーランス・事業者間取引適正化等法で、発注する側には取引条件の明示と原則60日以内の報酬の支払いが義務付けられました。条件が書面で示されない取引は、始める前に確かめ直してください。
1. 退職日が決まったら書類をそろえる
開業届と青色申告承認申請書の様式を国税庁のページから用意し、屋号や事業の内容を決めておきます。
2. 開業の日に税務署へまとめて出す
e-Taxでも書面でも出せます。青色申告の期限を過ぎないことを優先します。
3. 最初の取引先と書面を交わす
仕事の範囲、報酬の計算と支払日、経費、やめるときの条件を読み、写しを手元に残します。
4. 事業用の口座と帳簿を用意する
生活費の口座と分けておくと、最初の確定申告の集計が楽になります。
独立後3か月の営業の組み立て
独立後の最初の3か月は、商材を覚えること、新しいお客様に会うこと、記録をつけることに時間を使います。会社員のときと違い、困ったときに相談できる上司や、技術的な質問に答える部署は自分で用意しなければなりません。そのため、扱う商材の提供元にサポートの窓口があるか、勉強会があるかで、最初の3か月の負担は大きく変わります。お客様との接点も同じで、前の会社の顧客名簿に頼れない以上、紹介や問い合わせを受け取れる仕組みがあるかが立ち上がりを左右します。1か月目は商材と業界の知識、2か月目は紹介や問い合わせのお客様への訪問、3か月目は提案と見積の件数を増やす、という順に進めると無理がありません。売上と経費は最初の月から帳簿につけてください。
| 月 | 主な行動 | 確かめたい支援 |
|---|---|---|
| 1か月目 | 商材の勉強、営業ツールの準備 | 勉強会や営業ツールのダウンロード |
| 2か月目 | 紹介や問い合わせのお客様を訪問 | 本部に届いた問い合わせの紹介、FAXDMなどの販促 |
| 3か月目 | 提案と見積を増やし、契約の流れを覚える | お客様からの日々の問い合わせを受けるサポート窓口 |
代理店として独立するという選択肢
営業マンの独立の形の1つが、自社の商材を持たずに、メーカーの代理店として販売する方法です。日本カーネットは自動車整備工場や中古車販売店、鈑金工場向けの業務システムを提供しており、販売の多くを代理店が担っています。代理店になる際の加盟金や保証金、研修費、ロイヤリティは0円で、在庫を抱えるリスクもありません。地域のテリトリー制はなく、他社システムとの併売もでき、販売ノルマもありません。参画後はカーネットの営業担当が付き、営業ツールはWEBでダウンロードでき、定期的なオンライン勉強会があります。本部のWebやメルマガに届いた問い合わせを代理店に紹介する仕組みもあるので、前の会社の顧客名簿に頼らずに新しいお客様と出会えます。契約の形はパック契約と月払(サブスク)契約で、月払(サブスク)の契約が積み上がると毎月の継続報酬になります。条件は代理店募集要項、報酬の考え方は代理店の報酬とストックビジネスで確かめられます。
まずは面談で、働き方と条件をお聞きください
独立の時期が決まっていない段階でもかまいません。今の会社との約束を確かめながら、地域担当営業、業務委託、代理店のどれが合うかを面談で一緒に整理します。
よくある質問
- 営業マンが独立するとき、最初に何をすればよいですか?
- 今の会社の就業規則と、入社時や退職時に署名した誓約書を読むことから始めます。副業・兼業の定め、秘密保持の規定、退職後の競業の制限が書かれているかで、準備の進め方と独立の時期が変わります。判断に迷う点は弁護士や社会保険労務士に確かめてください。
- 退職するとき、担当していた顧客のリストを持って出てもよいですか?
- 持ち出してはいけません。会社で秘密として管理されている顧客名簿や見積の資料は、不正競争防止法の営業秘密に当たる可能性があります。紙の資料は返却し、私物の端末や個人のメールに残ったデータも削除してから退職してください。
- 退職を申し入れてから何日で辞められますか?
- 民法第627条は、期間の定めのない雇用について、解約の申入れの日から2週間を経過すると雇用が終了すると定めています。会社の就業規則には別に退職の申し出の時期が書かれていることが多いため、引き継ぎの期間も含めて会社と話し合って決めるのが現実的です。
- 会社を辞めた月に、税務署の手続きで急ぐものはありますか?
- 急ぐのは青色申告承認申請書です。1月16日以後に事業を始めた場合、国税庁の案内では期限が事業開始の日から2か月以内と短く、過ぎるとその年は青色申告を選べません。開業届は同じ税務署にまとめて出すと手間が省けます。
- 独立した最初の3か月は何に時間を使えばよいですか?
- 商材の知識を固めること、紹介や反響のお客様に会うこと、売上と経費の記録をつけ始めることの3つです。前の会社の顧客名簿に頼らずに新しい接点を作れる仕組みがあるかどうかで、立ち上がりの速さが変わります。
- 扱う商材の自動車整備システムや車販ソフトは、どんなお客様に提案しますか?
- 自動車整備工場・中古車販売店・鈑金工場が主なお客様です。自動車整備システム(自動車整備ソフト)と車両販売システム(車販ソフト)を同じ顧客データで使える点が提案の軸になります。お客様が整備システム 比較や整備ソフト おすすめを調べているときは、整備ソフト 安いかどうかに加えて、整備システム リースなし(月払(サブスク))で始められる点も説明できます。
参考にした一次情報
この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月確認)。
- e-Gov法令検索 民法:https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- e-Gov法令検索 不正競争防止法:https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000047
- 国税庁 個人事業の開業届出・廃業届出等手続:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
- 国税庁 所得税の青色申告承認申請手続:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
- 厚生労働省 副業・兼業の促進に関するガイドライン(令和4年7月8日改定版):https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000962665.pdf
- 厚生労働省 フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00002.html
まずは面談で、働き方と条件をお聞きください
地域担当営業(正社員)・業務委託・代理店として独立の3つから選べます。日々のサポート対応は日本カーネットのサポートセンターが担当するので、営業に集中できます。テリトリー制なし、他社システムとの併売可、販売ノルマなし。







