競業避止義務とは|同業へ転職・独立する前に確認する誓約書と顧客情報
競業避止義務とは、勤めている会社と競合する仕事をしない義務のことです。在職中は労働契約にともなう義務として一般に負うと解されていて、退職後は就業規則や誓約書で何を約束したかによって中身が変わります。同業他社への転職や、同じ業界での独立を考えている営業職の方に向けて、競業避止義務の考え方と、営業秘密や顧客情報の扱い、退職前に確認する順番を、厚生労働省と法令の一次情報をもとに整理しました。最終的な判断は弁護士や社会保険労務士にご相談ください。
この記事で確認した一次情報:e-Gov法令検索(日本国憲法、労働契約法、不正競争防止法)、厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月8日改定版)、厚生労働省「モデル就業規則」(令和7年12月版)、厚生労働省のフリーランス向けページ。確認日は2026年10月です。この記事は一般的な情報の整理で、個別の事案の法的な判断ではありません。
競業避止義務とは
競業避止義務とは、勤めている会社と競合する業務を行わない義務を指す言葉です。厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月8日改定版)は、労働者は一般に、在職中、使用者と競合する業務を行わない義務を負っていると解されていると説明し、この義務は使用者の正当な利益を不当に侵害してはならないことを内容とする義務だとしています。条文の根拠としてよく挙がるのが労働契約法の第3条第4項で、労働者と使用者は労働契約を守り、信義に従い誠実に権利を行使し義務を履行しなければならないと定めています。一方で、日本国憲法の第22条は、公共の福祉に反しない限り職業選択の自由を保障しています。会社の利益を守る義務と、働く人が仕事を選ぶ自由のどちらも法律で守られているため、どこまでが義務になるかは時期と約束の内容で変わります。
| 時期 | 義務の考え方 | 確認するもの |
|---|---|---|
| 在職中 | 労働契約にともなう義務として一般に負うと解されている | 就業規則の服務規律と副業・兼業の定め |
| 退職後 | 就業規則や誓約書でどう約束したかによる | 入社時や退職時に署名した誓約書、退職金規程 |
| 在職中も退職後も | 業務上知った秘密を漏らさない | 秘密保持の規定、情報管理のルール |
在職中の競業避止義務と副業・兼業
在職中の競業避止義務は、会社にいる間に競合する仕事をしないという約束で、副業・兼業の範囲を決めるときに問題になります。厚生労働省のガイドラインは、裁判例を踏まえて、会社が副業・兼業を禁止または制限できる場合を4つ挙げています。労務提供上の支障がある場合、業務上の秘密が漏洩する場合、競業により自社の利益が害される場合、自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合です。同じガイドラインは、会社の正当な利益が侵害されない場合には、同一の業種や職種であっても副業・兼業を認めるべき場合も考えられるとしています。つまり「同業だから一律に禁止」とは書かれておらず、仕事の中身で判断する立場です。厚生労働省のモデル就業規則(令和7年12月版)の第70条も、勤務時間外に他の会社等の業務に従事できるとしたうえで、競業により企業の利益を害する場合などに禁止や制限ができるという規定例を示しています。
モデル就業規則の解説には、在職中の競業に関する裁判例も載っています。管理職の従業員が競業他社の取締役に就いたことを懲戒解雇の事由に当たるとした事案や、在職中に競業会社を設立したことが労働契約上の競業避止義務に反するとされた事案です。在職中に同業の会社を立ち上げたり、競合先の役員を引き受けたりするのは、退職後に比べて問題になりやすいと考えておくと安全です。
退職後の競業避止義務と誓約書
退職後の競業避止義務は、法律が一律に課すものというより、就業規則や誓約書でどう約束したかによって決まります。入社時や昇進時、退職時に「退職後◯年間は同業他社に就職しない」「競合する事業を営まない」といった誓約書に署名している場合があるため、まず自分が何に署名したかを確かめます。法律に「何年までなら有効」という一律の定めはありません。誓約書に書かれた制限がそのまま有効になるかどうかは、制限する期間や地域、禁止される仕事の範囲、元の会社で就いていた立場、制限の代わりの手当があったかといった事情を合わせて、個別に判断されます。憲法第22条の職業選択の自由との兼ね合いがあるため、誓約書の文言だけで結論を出すのは危険です。退職後に同業へ移る予定があり、誓約書に制限が書かれている場合は、転職先や独立の計画が固まる前に弁護士へ相談してください。
| 誓約書で見る項目 | 確かめる内容 |
|---|---|
| 期間 | 退職後いつまでの制限か。期間の書かれていない制限もある |
| 地域 | 全国か、特定の地域に限るか |
| 禁止される行為 | 同業への就職か、競合事業の開業か、元の顧客への営業か |
| 対象の顧客 | 在職中に担当した顧客に限るか、会社の全顧客か |
| 代わりの手当 | 制限の代わりに支払われた手当や退職金の上乗せがあるか |
| 違反した場合 | 退職金の扱いや損害賠償について何が書かれているか |
営業秘密と顧客情報の持ち出し
顧客リストや見積の資料を退職時に持ち出してはいけません。競業避止義務の有無とは別に、不正競争防止法が営業秘密を保護しているからです。同法の第2条第6項は、営業秘密を「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」と定義しています。会社で秘密として管理されている顧客名簿や取引条件、見積の履歴は、これに当たる可能性があります。第2条第1項第7号は、営業秘密を示された人が、不正の利益を得る目的や保有者に損害を加える目的で使ったり開示したりする行為を不正競争に挙げており、第21条には刑事罰の規定もあります。厚生労働省のモデル就業規則は、第11条の遵守事項に「在職中及び退職後においても、業務上知り得た会社、取引先等の機密を漏洩しないこと」という例を置いています。顧客の連絡先を私物のスマートフォンに移す行為も、退職前にやめてください。
持ち出してはいけないものの例
顧客名簿、取引先ごとの価格や条件、見積書や提案書のデータ、リース期限などの管理表、社内の営業マニュアル。紙もデータも同じです。業界で働いて身につけた知識や話し方は自分のものですが、会社が管理している情報は会社のものです。
競業避止義務を確認する順番(転職・独立の前に)
競業避止義務で迷ったら、就業規則、誓約書、在職中の行動、顧客情報の4つを順に確かめます。最初に見るのは就業規則で、副業・兼業の定めと秘密保持の規定を読みます。次に、入社時や退職時に署名した誓約書を探し、期間や地域、禁止される行為を書き出します。3つ目は在職中の行動で、会社の時間や設備を使って独立の準備をしていないか、競合先の手伝いをしていないかを見直します。最後に、手元にある顧客情報や資料を整理し、会社のものは返却と削除を済ませます。ここまでで判断がつかない点は、弁護士や社会保険労務士に相談してください。厚生労働省は、フリーランスが契約上のトラブルを弁護士に無料で相談できる「フリーランス・トラブル110番」も設けています。
1. 就業規則を読む
副業・兼業の条文と、服務規律の秘密保持の定めを確かめます。
2. 誓約書を探す
入社時や退職時に署名したものの期間、地域、禁止される行為、手当の有無を書き出します。
3. 在職中の行動を見直す
会社の時間や設備で独立の準備をしていないか、競合先の仕事をしていないかを確認します。
4. 顧客情報と資料を整理する
会社の資料は返却し、私物の端末やメールに残ったデータは削除します。
5. 専門家に相談する
誓約書に退職後の制限がある場合や判断に迷う場合は、弁護士や社会保険労務士に確かめます。
独立までの全体の段取りは営業マンが独立する前のチェックリストに、個人事業主として始めるときの届出は個人事業主として営業を始める手続きにまとめています。
日本カーネットの代理店・地域担当営業と競業避止義務
日本カーネットでは、代理店や地域担当営業として参画する方に、前職の顧客情報の持ち出しを求めません。持ち込んでいただく必要もありません。日本カーネットは自動車整備工場や中古車販売店、鈑金工場に向けて、整備システム・整備ソフト DREAM POWER などの業務システムを提供している会社で、販売の多くを代理店が担っています。新しいお客様との接点は、本部のWebやメルマガに寄せられた問い合わせを代理店に紹介する仕組みや、共同で行うFAXDMで作れます。お客様からの日々の問い合わせはカーネットのサポートセンターが受けるため、営業は提案に専念できます。前の会社と誓約書を交わしている方は、その内容を確かめてから参画の時期と形を一緒に考えます。代理店の条件は代理店募集要項、働き方の違いは業務委託の営業とはをご覧ください。
| 参画の形 | 向いている方 | 競業避止義務で先に見ること |
|---|---|---|
| 地域担当営業(正社員) | 地域に腰を据えて働きたい方 | 前職の誓約書で同業への就職が制限されていないか |
| 業務委託(個人事業主・副業) | 今の仕事と並行して始めたい方 | 勤務先の就業規則で副業・兼業がどう扱われているか |
| 代理店として独立(起業家・法人) | 自分の会社で販売したい方 | 誓約書で競合事業の開業が制限されていないか |
まずは面談で、働き方と条件をお聞きください
前の会社との誓約書や就業規則が気になる方も、まずは面談でお話をお聞かせください。参画の時期や形は、確認が済んでから決められます。顧客名簿の持ち込みは不要です。
よくある質問
- 競業避止義務とは何ですか?
- 勤めている会社と競合する業務を行わない義務のことです。厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」は、労働者は一般に、在職中、使用者と競合する業務を行わない義務を負っていると解されていると説明しています。退職後については、就業規則や誓約書でどのような約束をしたかを確かめる必要があります。
- 同業他社へ転職すると競業避止義務違反になりますか?
- 同業への転職がそれだけで違反になるとは限りません。憲法第22条は職業選択の自由を定めており、退職後の制限がどこまで認められるかは、約束の内容や仕事の中身などの事情で個別に判断されます。誓約書に退職後の制限が書かれている場合は、転職先が決まる前に弁護士へ相談してください。
- 競業避止義務に期間の決まりはありますか?
- 法律に「何年まで」という一律の定めはありません。誓約書に期間が書かれていても、その長さが有効かどうかは、地域や仕事の範囲、代わりの手当の有無などとあわせて判断されます。期間だけを見て有効か無効かを決めないでください。
- 前の会社の顧客リストを持ち出してもよいですか?
- 持ち出してはいけません。顧客リストや見積の資料が会社で秘密として管理されている場合、不正競争防止法の「営業秘密」に当たる可能性があり、不正の利益を得る目的での使用や開示は同法の規制の対象です。厚生労働省のモデル就業規則も、在職中と退職後の機密の漏洩を禁じる規定例を置いています。
- 在職中に独立の準備をしてもよいですか?
- 就業規則の副業・兼業の定めと、競業に当たらないかを先に確かめます。厚生労働省のガイドラインは、競業により自社の利益が害される場合などに、会社が副業・兼業を禁止または制限できるとしています。会社の時間や設備、取引先の情報を使った準備は避けてください。
- 扱う商材の自動車整備システムや車販ソフトは、どんなお客様に提案しますか?
- 自動車整備工場・中古車販売店・鈑金工場が主なお客様です。自動車整備システム(自動車整備ソフト)と車両販売システム(車販ソフト)を同じ顧客データで使える点が提案の軸になります。お客様が整備システム 比較や整備ソフト おすすめを調べているときは、整備ソフト 安いかどうかに加えて、整備システム リースなし(月払(サブスク))で始められる点も説明できます。
参考にした一次情報
この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月確認)。
- e-Gov法令検索 日本国憲法:https://laws.e-gov.go.jp/law/321CONSTITUTION
- e-Gov法令検索 労働契約法:https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128
- e-Gov法令検索 不正競争防止法:https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000047
- 厚生労働省 副業・兼業:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html
- 厚生労働省 副業・兼業の促進に関するガイドライン(令和4年7月8日改定版):https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000962665.pdf
- 厚生労働省 モデル就業規則について:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html
- 厚生労働省 フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00002.html
まずは面談で、働き方と条件をお聞きください
地域担当営業(正社員)・業務委託・代理店として独立の3つから選べます。日々のサポート対応は日本カーネットのサポートセンターが担当するので、営業に集中できます。テリトリー制なし、他社システムとの併売可、販売ノルマなし。







