自動車整備士の将来性|人手不足・整備売上・電子制御化のデータで見る今後
自動車整備士の将来性を数字で見ると、整備の仕事は増えている一方で、整備士の高齢化が進み、求人が求職者を大きく上回っています。日本自動車整備振興会連合会の令和7年度調査では総整備売上高が6兆6,592億円と4年続けて増え、整備要員の平均年齢は47.7歳でした。厚生労働省の統計で計算した、自動車整備を含む機械整備・修理従事者の求人倍率は約4.04倍です。このページでは、業界団体と国の統計を並べて自動車整備士の今後を読み解き、電子制御化の中で求められる力と、整備の経験を活かせる仕事まで整理しました。
この記事で確認した一次情報:日本自動車整備振興会連合会「令和7年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要」(令和8年1月30日)、厚生労働省「一般職業紹介状況」雇用関係指標(年度)、国土交通省「自動車整備士技能検定の申請者数及び合格者数(平成26年度〜令和6年度)」、国土交通省「特定整備制度の概要」、同 報道発表「自動車技術の進化に対応する自動車整備士の育成を促進します」。確認日は2026年10月9日です。将来の予測ではなく、確かめられる統計と制度の事実をまとめています。
整備の仕事量(総整備売上高と保有車両数)
自動車整備の仕事量は、ここ数年増え続けています。日整連の令和7年度調査では、総整備売上高は6兆6,592億円で前年度より4,031億円(6.4%)増え、4年続けての増加でした。令和に入ってから最も大きな伸び率です。作業の内容別では、車検整備が1,637億円(6.4%)、定期点検整備が360億円(7.9%)、事故整備が1,055億円(9.4%)、その他の整備が979億円(4.6%)といずれも増えています。整備の対象になる保有車両数は令和7年3月末で8,270万台と、前年より0.2%増えました。技術料(工賃)の対前年増減率は+5.8%で、整備の単価も上がっています。車が走っている限り、法定の点検や車検の仕事はなくなりません。
| 調査年度 | 総整備売上高 | 対前年増減率 |
|---|---|---|
| 令和3年度 | 5兆5,510億円 | −1.9% |
| 令和4年度 | 5兆7,388億円 | +3.4% |
| 令和5年度 | 5兆9,072億円 | +2.9% |
| 令和6年度 | 6兆2,561億円 | +5.9% |
| 令和7年度 | 6兆6,592億円 | +6.4% |
自動車整備士の人数と平均年齢
自動車整備士の人数は横ばいで、平均年齢は毎年上がっています。日整連の令和7年度調査では、整備要員は40万2,367人で前年度より342人(0.09%)増え、そのうち整備士は33万3,475人で428人(0.13%)増えました。整備要員に占める整備士の割合(整備士保有率)は82.9%で、平成20年度の87.2%をピークに少しずつ下がっています。整備要員の平均年齢(自家を除く)は47.7歳で前年度より0.3歳上がり、業態別では専業が53.0歳、兼業が49.0歳、ディーラーが37.9歳でした。女性の整備要員は1万9,368人で全体の4.8%です。仕事量が増える中で人の数がほぼ変わらず、年齢が上がっているため、1人あたりの整備売上高は1,659万5,000円(自家を除く)と前年度より6.2%増えています。
| 項目 | 令和2年度 | 令和7年度 |
|---|---|---|
| 整備要員数 | 399,218人 | 402,367人 |
| 整備士数 | 339,593人 | 333,475人 |
| 整備士保有率 | 85.1% | 82.9% |
| 整備要員の平均年齢(自家を除く) | 45.7歳 | 47.7歳 |
| 整備要員の平均年収(自家を除く) | 3,963.0千円 | 4,428.9千円 |
自動車整備士の人手不足(求人倍率)
自動車整備士の人手不足は、ハローワークの求人倍率にもはっきり表れています。厚生労働省の一般職業紹介状況(年度)で、自動車整備を含む職業中分類「機械整備・修理従事者」の月間有効求人数と月間有効求職者数の年度合計から計算すると、求人倍率は2023年度が約4.21倍、2024年度が約4.13倍、2025年度が約4.04倍でした。同じ年度の全職業はそれぞれ約1.17倍、約1.14倍、約1.10倍です。全職業の求人倍率が下がる中でも、整備の仕事は4倍を超える水準を保っています。求職者1人に対して4件以上の求人がある計算で、整備士は働く場所を選びやすい立場にあります。この区分には自動車以外の機械の整備も含まれ、ハローワークを通した求人と求職だけの数字である点には注意が必要です。
整備士の試験の合格者数
これから整備士になる人の数は、技能検定の合格者数で見られます。国土交通省の資料によると、自動車整備士技能検定の合格者の合計は、平成26年度の2万9,264人に対して令和6年度は2万7,242人でした。等級別では、二級が1万9,966人から1万7,457人に減り、三級は7,313人から7,398人、一級は1,291人から1,464人です。二級の合格者は年度によって上下があり、令和2年度は1万7,166人、令和5年度は1万9,581人でした。国土交通省は2025年7月に受験に必要な実務経験の期間を短くし、三級は1年から6か月、二級は三級合格後3年から2年に改めています。資格の取り方の詳細は自動車整備士の資格とはで解説しています。
| 等級 | 平成26年度 | 令和2年度 | 令和5年度 | 令和6年度 |
|---|---|---|---|---|
| 一級 | 1,291人 | 1,572人 | 1,338人 | 1,464人 |
| 二級 | 19,966人 | 17,166人 | 19,581人 | 17,457人 |
| 三級 | 7,313人 | 6,681人 | 7,805人 | 7,398人 |
| 合計(特殊を含む) | 29,264人 | 26,200人 | 30,093人 | 27,242人 |
出典:国土交通省「自動車整備士技能検定の申請者数及び合格者数(平成26年度〜令和6年度)」。
電子制御化と資格制度の見直し
車の電子化に合わせて、整備の制度も変わってきました。2020年4月には、それまでの分解整備に、衝突被害軽減ブレーキなどに使う前方のカメラやセンサーの脱着・調整(エーミング)を含む電子制御装置整備を加えた特定整備制度が始まりました。電子制御装置整備を行う工場は、整備用スキャンツールなどの機器を備えて地方運輸局長の認証を受ける必要があります。整備士の資格も、2027年(令和9年)1月から、ガソリン・ジーゼルといったエンジン別の区分をやめ、電子制御装置の内容を含む「総合」と「二輪」に再編されます。さらに2029年(令和11年)4月からは、自動運行装置を備えた車の検査を行う自動車検査員は、経過措置を除いて一級整備士に限られます。電子制御に強い整備士の価値は、制度の面からも高まっています。
| 時期 | 制度の変化 |
|---|---|
| 2020年4月 | 特定整備制度の開始(電子制御装置整備を追加) |
| 2025年7月 | 技能検定の受験に必要な実務経験の期間を短縮 |
| 2027年1月 | 整備士の資格区分を「総合」「二輪」に再編(新試験は最短で2027年3月) |
| 2029年4月 | 自動運行装置を備えた車を検査する自動車検査員は一級整備士に限定(経過措置あり) |
これからの整備士に求められる力
ここまでの統計と制度から読み取れるのは、整備士の仕事は量が増えながら、中身が変わっているということです。電子制御装置の診断にはスキャンツールの扱いや整備情報の読み取りが欠かせず、作業の記録や見積もパソコンや業務システムで扱う工場が増えています。整備の腕に加えて、お客様に作業内容と費用をわかりやすく説明する力も、1人あたりの売上が増える中でますます大切になります。人手が足りない工場では、受付から見積、請求、記録簿までの事務を減らす工夫も求められます。こうした変化は、整備士の経験を持つ人が、整備工場を支える側の仕事で力を発揮できる場面が増えていることも意味します。
| 求められる力 | 具体的な中身 |
|---|---|
| 電子制御の診断 | スキャンツールの扱い、整備情報の読み取り、エーミング |
| お客様への説明 | 作業内容と費用を、専門用語を使わずに伝える |
| 事務のデジタル化 | 見積、請求、点検整備記録簿を業務システムで扱う |
| 段取りと品質管理 | 入庫の予定と作業時間を組み、やり直しを減らす |
整備の経験を活かせる仕事:整備工場を支える地域担当営業
人手不足の整備工場を支える仕事として、日本カーネットの地域担当営業があります。日本カーネットは、整備工場、中古車販売店、鈑金工場に向けて、整備システム・整備ソフト DREAM POWER などの業務システムを提供している会社です。受付から見積、作業指示、請求、点検整備記録簿の作成までを一つのシステムで扱えるようにし、工場の事務の手間を減らす提案をします。整備の現場を知っている人は、どの作業にどれだけ時間がかかっているかを工場の方と同じ目線で話せます。正社員(地域限定・転勤なし・ノルマなし)、業務委託、代理店としての独立の3つの形で参画できます。整備士から移る場合の仕事内容は整備士から営業へで紹介しています。
よくある質問
- 自動車整備士に将来性はありますか?
- 仕事の量と人の数の統計を見ると、需要は続いています。日本自動車整備振興会連合会の令和7年度調査では総整備売上高が6兆6,592億円で4年続けて増え、厚生労働省の統計で計算した自動車整備を含む機械整備・修理従事者の求人倍率は2025年度で約4.04倍でした。
- 自動車整備士は不足していますか?
- 求人が求職者を大きく上回る状態です。2025年度の求人倍率は約4.04倍で、全職業の約1.10倍を大きく上回ります。整備要員の平均年齢は47.7歳で毎年上がっており、整備士保有率は平成20年度の87.2%から令和7年度の82.9%まで下がっています。
- 自動車整備士の平均年齢は何歳ですか?
- 日本自動車整備振興会連合会の令和7年度調査では、整備要員の平均年齢(自家を除く)は47.7歳で、前年度より0.3歳上がりました。業態別では専業が53.0歳、兼業が49.0歳、ディーラーが37.9歳です。
- 電気自動車が増えると整備士の仕事はなくなりますか?
- 公的な統計で将来の仕事量を示したものはありません。国は車の電子化に合わせて、2020年4月に電子制御装置の整備を含む特定整備制度を始め、2027年1月からは整備士の資格区分を電子制御の内容を含む「総合」に再編します。整備の中身が変わっていくことに合わせて制度も見直されている、というのが確かめられる事実です。
- 自動車整備士の試験の合格者は減っていますか?
- 国土交通省の資料では、技能検定の合格者の合計は平成26年度の2万9,264人に対し、令和6年度は2万7,242人でした。二級は1万9,966人から1万7,457人に減っています。年度ごとの上下があるので、数年の流れで見てください。
- 人手不足の整備工場では、どんなシステムが求められていますか?
- 受付、見積、請求、点検整備記録簿の事務を減らせる自動車整備システム(自動車整備ソフト)と、販売も手がける工場向けの車両販売システム(車販ソフト)です。工場の方は整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を集め、整備ソフト 安いものや整備システム リースなしで始められるものを探していることが多く、月払(サブスク)の提案が役に立ちます。
参考にした一次情報
この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月9日確認)。
- 日本自動車整備振興会連合会 令和7年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要(令和8年1月30日):https://www.jaspa.or.jp/Portals/0/resources/jaspahp/member/data/pdf/R07jittaityousa.pdf
- 厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)雇用関係指標(年度)第4表・第5表・第10表(e-Stat):https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450222&tstat=000001243436
- 国土交通省 自動車整備士技能検定の申請者数及び合格者数(平成26年度〜令和6年度):https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/002005045.pdf
- 国土交通省 特定整備制度の概要:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001332203.pdf
- 国土交通省 報道発表資料「自動車技術の進化に対応する自動車整備士の育成を促進します」:https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha09_hh_000281.html
- 国土交通省 自動車整備技術の高度化検討会:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk9_000023.html
- 自動車整備士の資格とは|種類・受験資格と2027年(令和9年)からの新しい資格制度(日本カーネット 自動車業界メール情報配信サービス):https://cr.j-carnet.co.jp/20260225-1/
- 日本カーネット 自動車業界の営業パートナー募集(雇用条件・応募資格):https://l7.j-carnet.co.jp/
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